演劇 Richard III (Shakespeare)


いい演劇がわりと低価格で楽しめるのは、シアトルのいいところだと思う (東京だと いい演劇のチケットはちょっと高め…)。 今日は Seattle Shakespeare Company の Richard III を観てきた。 (1/21/2006 Sat 19:30 のショー)


Shakespeare にはぜんぜん詳しくなくて、実際に演劇を観たのは '05年11月に同じく Center House Theatre で上演されていた Romeo and Juliet が初めてだった。 Richard III は、ちょっとだけ予習してから行ったけれど、細かい筋はやっぱりわからなかった。 けど、主人公の Richard III がかわいそうなキャラで、いろいろな政争に血道をあげたあと Richmond に敗れてしまうというストーリーの大筋はステージから理解できた。


Shakespeare はイギリスの王権の歴史劇を 8 つ作っていて、この Richard III はその中で年代が一番最後のものらしい。 イギリスの文化 (アメリカの親) を理解するためにも、あとでちょっと復習しておいたほうがいいかなとも思った。


この Seattle Shakespeare Company のバージョンはかなり現代風のアレンジがしてあって、登場人物はみんなふつうのスーツを着ているし (イギリスの貴族衣装ではない)、政争の各エピソードは近年の大企業スキャンダル (Enron とか WorldCom とか) にそっくりな演出で語られる。 そして、クライマックスの Richard と Richmond の闘いは、剣による決闘ではなくて政治家どうしの Debate という形で再現。 Bush vs. Gore, Bush vs. Kelly の Presidential Debate そっくりな感じで、 Richard と Richmond はスーツを着て弁論で闘い、結果として Richmond が民衆の支持を得るという展開。 これは、すごくうまい表現だなと思った。 あと、劇の途中でときどき Powerpoint Presentation や E-mail によるコミュニケーションを演出の小技として使っているのはとてもユーモラスだった。


古典劇をアレンジして、現代のドラマとして楽しんでしまうのは面白い。 いまシアトルで観て楽しんでいる演劇の記憶は、日本に帰ってからも役に立ちそう。


http://www.seattleshakespeare.org/2005-2006/RichardIII/index.shtml