再びシアトルへ。 進化は多様化。


スーツとネクタイを着ての2週間はあっという間だった。 今回の東京滞在はこれで終わり。 初対面の人たちにこんなにたくさん会ったのは何年ぶりだろうか・・・。


内訳 (Fun Stats):
 東京に来る前にJob Searchサイト経由でメールを
 くれた人材紹介会社: 40 社以上
  ・そのうち、メールがマトモに見えたので
   面談に行ってみた人材紹介会社: 12 社
   ・そのうち、私がマトモだと思った
    キャリアコンサルタント: 2名 (+ ややマトモ 1名)
 現在の会社つながりの友人・知人との会談: 7 回
 学生時代の友人・知人との会談: 4 回
 実際に Hiring Manager に会ってみた企業: 1 社


まだ頭の中が あまり整理できていないけど、人の表情や反応を見ることで、相手の立場から見て自分がどう見えるかという情報をまとめて収集することができたのは収穫だったと思う。 シアトルに帰ってからも、もう少しいろいろなアイディアと言葉を整理して、今後の進路について考えようと思う。


  ◇ ◇ ◇


今日 (3/3 (金)) の昼間、学生時代の友人のツテで知り合った人と四ツ谷のレストランでランチを一緒にいただいた。 天気について話すのと同じぐらいの何気なさで人類社会の進化について話せる人に出会ったのは久しぶり。


以下は、ランチのときに話した話題についてのメモ。 シアトルに戻る前にこの人に会えたのは幸運だったと思う。 飛び出した話題も 私のこれからの仕事に関係が深いテーマだった。


  ◇ ◇ ◇


■進化の本質は多様化である。 競争による排他的生存、という考え方だけでは進化の本質を捉え損なう。 少数者による少数者のための交流、というのは重要度が低いわけでは決してなく、それが可能であることに大きな意義がある。 過去においては幹(安全)のほうが重要である、という考え方が支配したが、進化の結果 枝や木の実が周囲と独立して自己を肯定できるようになる。 多様化により、大樹に寄らずとも、小さな単位での自立 (自律) が可能となることこそが進化の意義である。


■とはいえ何らかの関係 - (お金や情報の)流れ - つながりを周囲と保ちつづけることは重要であり、それが社会に参加することでもある。 そのつながりを全く持たない自律的存在は、土を見つけられなかった種子のように生きていけない存在なのではないか。


■たとえば5億円ぐらいの貯金が仮にあったとしたら、食べていくには困らないかもしれない。 しかし、それが人生のゴールだとしたら、それは お金に飼われていることになってしまうのではないか。 大きな流れに主体的に参加していくことが、飼われない、ということなのだろう。 同じように、日米関係においてアメリカだけを盲目的に是として生きていくことは、飼われていることに等しい。 (かつての松内がそうだったかも。)


ロングテールにおいてビジネスが成り立つ、ということは、目先の短期的なことだけではなくてストック(蓄積) が評価される可能性が一気に拡がるということでもある。 これは、「利益追求=短期的視野」という制限に対する強力なアンチテーゼになりうる。


■投資と金融の意味について。 お金を「持っている」人は別にエラくなくて、お金の正しい使い方を提案できる人がエラいと言えるのではないか。 お金は常に流れているものであり、お金の流れには社会の価値観が反映しているという意味で、お金はメッセージである。 お金そのものを目的としてお金に関わろうとすることは、たぶん死ぬことを目的として生きようとすることと同じぐらいバカな行為である。 お金は、社会に対する責任の表現でもあり、責任を担える人にお金は自然と集まるのではないか。


■キャッシュの収入は必要条件ではあるが、十分条件ではない。 同じように、GoogleMicrosoft のような技術は必要条件ではあるが、十分条件ではない。 私たちはいろんなことに適応しすぎて、単なる一つの必要条件を十分条件だと勘違いしてしまうときがある。


Google (と、それを追いかけるMicrosoftとか) は「しくみ」ビジネスであって、彼らは道路を舗装している。 なので、Googleのようなテクノロジは序曲であってゴールでは ありえない。 さて、舗装された道路の上で私たちは何をするのだろうか。


  ◇ ◇ ◇


この人に話題の流れの一コマとしてケン・ウィルバー、ダニエル・ピンクといった思想家・著者のことを教わったのだが、私は不勉強でこれらの人たちのことを全く知らなかった。 シアトルに帰ってから読んでみようと思う。


次回の東京訪問は おそらく5月中旬ごろになりそう。


  ◇ ◇ ◇


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