経団連のコンテンツ・ビジネスについての提言


4月18日付けで、日本経団連が「エンターテインメント・コンテンツ関係者の戦略的コラボレーションに向けて 〜ユビキタス時代の新たなビジネスモデル構築のための提言〜」を発表した (要約)。


ざっと読んだ感じだと、現状を俯瞰的にまとめてあり、政府の政策上の留意点がきれいに整理されている。 提言そのものの内容はかなり保守的で、とくに斬新さはない、が、権利処理、著作権、国際展開など、重要なテーマが並んでいる。 こういうのは、目新しさは役に立たなくて、時代に即して当たり前のことを何度も何度もくりかえし提言していく必要があるのだろうと思う。 今後数年にわたって、あちこちからリンク・参照されそうな文書。


たとえば、国際展開についての提言はこんな感じ:

(2) 国際展開に向けた協力


コンテンツ・ビジネスの飛躍的拡大のためには、日本の数十倍の市場規模を有する世界市場での展開が重要であり、国際展開の強化は避けて通れない。すでにアジアにおいてはジャパン・コンテンツの存在感は高まっているが、欧米においては、アニメやゲーム等競争力をもつ分野はあるものの、言語や文化の違い等もあり、市場を開拓するには至っていない。他のアジア諸国も国際展開に向けた取組みを強化している中、わが国コンテンツ産業としても、国際展開を経営戦略として明確に位置づけ、ソフト・ハード等業界が連携し、世界に日本発のビジネスモデルを地域に応じた形で展開していく必要がある。これはコンテンツ市場の拡大のみならず、ジャパン・ブランドの発信を通じて日本のソフトパワーを強化することにもつながる。そのためには、海外展開に関する知識・ノウハウの共有化や国際共同制作の強化、見本市等を通じた情報発信等が求められるとともに、例えば、政府は、アジア近隣諸国や、アメリカ、フランス等の先進国との間でコンテンツ産業に係わる戦略的アライアンスを進めることや、特定の国をモデルケースにソフト・ハード等業界の連携による海外展開を支援することも考えられる。


また、欧米のような契約社会においては、ジャパン・コンテンツの展開に成功したとしても、契約上、日本に適正な収益がもたらされるよう権利を確保しなければ、日本経済の発展にはつながらない。日本が交渉の主体性を持つことで日本側が権利をコントロールできる市場をより大きくする必要がある。